早わかり細胞研究
培地のさらなる改良
(1959年~)
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バロウの後も培地の改良は行われていましたが、1959年にアメリカのイーグル(Harry Eagle)によって発表されたイーグル最小必須培地(Eagle's minimum; essential medium: EMEM)は、生体由来の内容物を含まず、人工的に塩・アミノ酸・糖(グルコース)・ビタミンを混ぜた画期的な培地でした。これにより、胚エキスや血漿を使う必要がなくなり、それまで世界中で大きな問題であった細胞培養のコストが劇的に改善されました。同年、イタリアのダルベッコ(Renato Dulbecco)はEMEMをさらに改変(4倍のビタミン・アミノ酸、2-4倍のグルコース、鉄の追加)したDMEM (Dulbecco's modified Eagle's minimum essential medium)を発表しました。
現在でもDMEMをベースとした培地は非常に広く使われています。また、現在の培養法においても、牛胎児血清は依然多くの細胞培養で使われています。
血清を使用しない培地としては、1965年にハム(Richard G. Ham)によって発表されたHam's F-12が現在でもベースとして使われています。