早わかり細胞研究

胚性幹細胞と体性(組織)幹細胞

ES細胞、iPS細胞は「正常な」幹細胞として知られており、その分化能は「Pluripotent」と表記されます。Pluripotentとは、「胚体外組織(胎盤など)以外全てに分化できる」という定義で、日本語にすると「万能性」や「多能性」といった表記になります。

対して、体性(組織)幹細胞の分化能は「Multipotent」と表記されます。(日本語にすると「多能性」ですが、Pluripotentも「多能性」と訳されることがあるので紛らわしいところです)。

体性(組織)幹細胞とは、造血幹細胞や神経幹細胞、間葉系幹細胞などの、ES・iPS細胞から数段階、いずれかの組織に向かってすでに分化した状態の細胞を指します。無限の増殖能力を持つか否かについては意見が分かれるところですが、既にある程度分化方向が決まっているという点で、「Pluripotent」な細胞とは大きな違いがあります。胎児期や新生期には身体中の至るところに豊富に存在し、成長に必要な細胞を分裂によって確保し、時間とともに分化して増殖性・多能性を失っていきます。しかしながら近年の研究においては、成体内でもある程度の体性(組織)幹細胞が各組織・器官において残存しているという報告が多く、それらの体性(組織)幹細胞を回収し、再生医療の細胞ソースとして用いる研究が盛んに行われています。

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