早わかり細胞研究

induced Pluripotent Stem cell (iPS細胞)の研究
(2006年~)

ES細胞は胚から樹立された胚性幹細胞であり、癌遺伝子・癌抑制遺伝子の変異を伴わない無限の増殖性を持ち、三胚葉全てへの分化能を持つことから、次世代の細胞リソースとしての期待が持たれていました。しかし、ES細胞を作製する場合は受精卵を用いるため、倫理的な問題や、また細胞移植で用いる場合の免疫拒絶のリスクが存在しました。2006年、日本の山中らは、ES細胞において特異的に発現する転写因子のうち、線維芽細胞に発現させることでES -likeな状態を作り出せる転写因子を探索し、Oct4, Sox2, Klf4, c-Mycの4つの転写因子を同定したことを発表しました。そして、この転写因子の発現によって誘導されたES-likeな細胞を、iPS細胞 (induced Pluripotent Stem Cell)と名付けました。さらに翌2007年には、山中らがOCT4, SOX2, KLF4, C-MYC、トムソンらがOCT4, SOX2, LIN28, NANOGを用いて、ともにヒトの線維芽細胞から、ヒトのiPS細胞の樹立に成功したことを発表しました。

転写因子の強制発現による分化誘導は、アメリカのワイントローブ(Harold M. Weintraub)による転写因子MyoDの強制発現による筋芽細胞の誘導(1987)などの先行報告がありました。現在はiPS細胞だけでなく、様々な種の細胞を転写因子の発現で直接誘導する、ダイレクトリプログラミングの研究も盛んに行われています。

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